リバースファクタリングは支払いを遅くしたい建設業者と、早期に資金を得たい下請け業者のニーズに合致したサービスだといわれています。この記事ではリバースファクタリングとは何なのか、そのメリットや注意点なども併せて解説します。

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支払いを先延ばしできる? リバースファクタリングとは
ファクタリングは売掛金を保有している会社が早期に資金を得たいとき、ファクタリング会社に支払期日よりも先に売掛金を買い取ってもらい現金化するという資金調達サービスです。
リバースファクタリングは反対にするという意味であるリバースが付く通り、通常のファクタリングとは逆の意味を持っています。
一般的にファクタリングは売掛金を保有する会社が依頼するサービスですが、リバースファクタリングは支払いをする側であるクライアントがファクタリング会社に依頼をします。
依頼を受けたファクタリング会社はクライアントの代わりに売掛金を支払い、クライアントは後日ファクタリング会社に肩代わりしてもらった売掛金を支払うという仕組みです。
リバースファクタリングを利用することによって、クライアントは売掛金の支払いを先延ばしにすることができます。
クライアントだけではなく、売掛金を保有する会社は早期に現金化することができるため双方にメリットがあります。
リバースファクタリングは電子債権決済サービスとも呼ばれ、金融機関がサービスを取り扱っていることが多いです。
リバースファクタリングが建設業に好適な理由
リバースファクタリングに向いているのは、支払いサイトが短く売掛金の金額が大きくなる企業だといわれています。
建設業の売掛金は数百万から数億円と、金額が大きいことがほとんどです。
支払いサイトも30日から60日と短く、大きな金額を短い期間で支払わなければならないなどの状況が多くなります。
売掛金の金額が大きいほど短い期間で支払うのは負担がかかるため、少しでも支払いを先延ばししたいと考える親事業者は多いです。
逆に、売掛金保有会社である下請け事業者は早期現金化したいと考えていることが多く、双方のニーズは大きく異なります。
下請法では親事業者は契約した物品やサービスを受けた日から、60日以内に代金の支払日を定めることになっています。
特に定めない場合は、60日が経過する日の前日が支払い期限です。
期限を過ぎても支払えなかった場合、遅延利息を支払わなければならないことになります。
期日までの支払いが難しい場合、リバースファクタリングで支払い期限を先延ばしにする方法であれば、遅延利息を負担するよりもリスクを低減でき、親事業者と下請け事業者両者の資金繰りの改善につながります。
リバースファクタリングのメリット
買掛債務がある会社は支払いサイトを遅らせることでキャッシュを手元に長く残しておくことができるため、資金繰りを楽にすることができます。
また買掛金の金額が大きければ大きいほど、支払いサイトを遅らせることへのメリットも大きくなります。
売掛金保有会社も売掛金を確実に回収することができるほか、支払期日を待たずに現金化することができるというメリットがあります。
また、一般的に金利が安いのもリバースファクタリングのメリットの1つです。
リバースファクタリングの注意点と利用の流れ
リバースファクタリングの注意点としてあげられるのは、でんさいを利用したサービスのため買掛債務がある会社はもちろん、売掛金保有会社もでんさいを導入する必要があることです。
でんさいは電子記録債権を意味する金銭債権です。
企業登録には審査が必要であったり債権の登録には手数料がかかったりするなど、導入するまでに手間がかかります。
しかし一度導入してしまえば、ファクタリングの利用などがPCやFAXから手軽にできるようにもなります。
でんさいは導入している企業が少ないため、リバースファクタリングを利用するときはでんさいの導入からスタートしなければならない場合もあることに注意する必要があります。
リバースファクタリングは主に規模の大きな企業が利用するサービスで、動かす金額も大きくなるのが特徴です。
そのため中小のファクタリング会社でも、取り扱うのが難しいことがあります。
このような事情から、資金力に十分な余裕のある金融機関でリバースファクタリングを提供しているケースが多く、リバースファクタリングに対応しているファクタリング会社は少ないというのも注意点の1つです。
リバースファクタリングを利用する流れは、まず契約を締結して債権が発生した直後に、ファクタリング会社へ依頼をするところから始まります。
依頼は買掛債務がある企業だけではなく、売掛金保有会社も債権の分割や買取をファクタリング会社へ依頼する必要があります。
ファクタリング会社は売掛金保有会社に代金を支払い、売掛債権を買い取ります。
次にファクタリング会社と買掛債務のある企業の間で支払い期日を決め、定められた支払期日までに入金します。
リバースファクタリングはでんさいの導入や取り扱い企業が少ないなどの注意点がありますが、買掛債務がある会社と売掛金保有会社の両者にメリットがあり、建設業に好適なサービスです。
利用することで両者の資金繰りの改善も期待できます。
通常のファクタリングとともに、利用を検討してみましょう。