ファクタリングの利用者が気をつけなければならない「二重譲渡」についてまとめてみました。
たとえば一般の中小企業向けにファクタリングのサービスを提供しているファクターが存在します。
「現金が必要だが、手もとには未だ現金になっていない売掛債権しかない」
そんなとき、ファクターが現金化のサービスを提供しているわけです。
今回取り上げる「債権の二重譲渡」は、特にそのようなファクターのサービスを利用する利用者が気をつけなければならない事柄です。
ファクタリングは合法的なサービスですが、二重譲渡が発覚すると、利用者が法的に罰せられる可能性があります。
債権の二重譲渡とは?
中小企業などを相手にファクタリングのサービスを提供しているファクターの中には、「2社間ファクタリング」を基本としているところがあります。ここでいう「2社」とは、「利用者とファクター」のことです。
債権の二重譲渡は、この2社間ファクタリングで起こることがあります。
そもそも売掛債権は、たとえば中小企業Aが大企業Bに商品を納品しているが、代金の支払日は数ヶ月先に設定されている、という場合に発生します。
AはBから代金を受け取る権利を持っているわけですが、この権利のことを「売掛債権」と呼びます。
Bは「売掛先」ということになります。
2社間ファクタリングの場合、Aは売掛先Bにファクタリングのことを告げる必要がありません。
基本的には、以下のような流れでサービスが提供されます。
①ファクターが利用者Aの売掛債権を買い取る。ファクターはAに現金を支払う。
②AはBから代金(売掛金)を受け取り、ファクターに支払う。
いわば、ファクターは利用者であるAを信用して先に現金を支払っている形になっているわけです。
さて、Aが善良な利用者であれば万事OKですが、過去には「債権の二重譲渡」を行う利用者も存在しました。つまり、同時に2ヶ所のファクターに売掛債権を売却し、二重に現金を得るというものです。
言うまでもなく虚偽によって現金を二重に得ているわけですから、利用者は違法行為を犯しているということになります。
3社間ファクタリングはリスクなし
ただし、以上のような「債権の二重譲渡」は、あくまでも売掛先が債権のゆくえを知らない「2社間ファクタリング」の場合に起こるリスクです。
利用者とファクター、そして売掛先という3社間で行われる「3社間ファクタリング」の場合、ファクターが二重譲渡のリスクを冒すことはありません。
3社間ファクタリングの場合、以下のような流れでサービスが提供されます。
①ファクターが利用者Aの売掛債権を買い取る。ファクターはAに現金を支払う。
②Aは売掛先Bに「債権譲渡通知」を出す。債権がAからファクターに移ったことを知らせるもの。
③Bは通知に従い、Aではなくファクターに直接売掛金を支払う。
売掛先Bは債権の持ち主がファクターであることを知っているので、Aは二重譲渡を行うことができません。